【完】私は貴方を愛せない
外に出ると、もう車に乗っている柳沢さんが窓を開けて話しかけてきた。
「乗って」
そう言って助手席の方に目をやる。
「はい!」
私は助手席にお邪魔した。
車の中は広々としている。
車の事はよく知らないが、きっと高級車だろう。
「ホストの皆にも連絡しておいた。お客様には申し訳ないけど、今日は貸し切りにしてとも言っておいたよ」
「そんな貸し切りって・・・仕事に支障が出ちゃうんじゃ?」
「気にしない気にしない!まだ何店舗もあるし、埋め合わせなんていくらでもできるんだよ」
「・・・すごいですね」
「それもこれも、全部ある奴らとつるんでたおかげなんだけどね」
「ある奴ら?」
「そうそう。昔からの仲間がいたんだけどさ、最近立て続けに二人とも連絡とれなくなって。・・・すごい心配なのに忙しいし、家族もいるし。首なんて突っ込んでられないよ」
「そうなんですか」
「すっごい悪友だったんだけど、今は二人ともはもちろん俺も落ち着いてて。結構幸せだって言える生活手に入れてるんだよね。・・・過去を消したいくらいだよ」
「何か昔にあったんですか?」
「色々と、ね」
「いつか教えてくださいね。柳沢さんの力になりたいので」
「ありがとう。俺もアンナちゃんの力になるから、何でも話して?」
「嬉しいです。ありがとうございます!」
「おっと、話しこんでるうちに店につきそうだ」
「意外と近いんですね?」
「そうそう。じゃあとりあえずここで降りてくれる?そこの店が俺の店だから、ちょっと入り口で待ってて。車置いてくる」
「はい」
私は車から降りて入口の前で柳沢さんを待った。