【完】私は貴方を愛せない
数分後。
柳沢さんは軽く走ってこっちに向かってきた。
「ごめんごめん。駐車場が少し混んでて!さ、中入ろうか。暑いだろ?」
促されるまま私は店内へと入る。
入口から広々とした高級感のあるお店。
中に入ると天井が高く、シャンデリアらしきものがあった。
私の言っているキャバクラと作りは似ている。
そして、長い廊下にずらっと並ぶスーツを着たキメている男子。
「いらっしゃいませ!!!」
声を合わせて言うその姿は圧巻だった。
きっと、こんなホスト最近はないだろう。
もしかしたら貸し切りのせいもあるかもしれないけど。
一人のホストに席を案内され、柳沢さんと一緒に向かう。
ゆったりとしたソファに身を任せ、両隣にはこの店のNo.1とNo.2のホストの子が座ってくれた。
私よりも少し若い子と同年代らしき子だ。
「うわぁ、本当綺麗だ」
「柳沢さんの言うとおり」
「だろ?この子俺のキャバでNo.2なんだ」
「え!?オレと一緒のNo.2!?親近感超湧く!!」
そんな話をしながら時間は過ぎていく。
高いお酒もじゃんじゃんと机に運ばれてきた。
柳沢さんは余裕の笑顔だ。
「楽しんでね。アンナちゃん」
「ありがとうございます。あ、柳沢さんもどうぞ」
「いや、俺は車で来てるから・・・」
「大丈夫ですよ。タクシー呼びましょう」
「・・・でも」
私は彼の反対を押し切り、何杯かお酒をすすめた。