【完】私は貴方を愛せない
「オーナー大丈夫っすか!?」
そんなホストの掛け声にも「おーう」と軽い言葉を投げかける柳沢さん。
ろれつが少し回っていない。
このお店に入ってからもう3時間はたっただろう。
私はその間アルコールの度数が高いものばかりを彼にすすめた。
断りながらも、だんだんとお酒の飲むスピードは早くなっていき、今ではこの状態。
「俺達一応今からでも店開けようと思うんだけど、こんな状態のオーナーを店に置いとくわけにもいかないし。かといって家に送るのも奥さんとか子供さんがいるから迷惑だろうからなぁ」
困っているホストに私は優しく声をかけた。
「私がどっかホテルに連れていきますよ?近くに確かありましたよね」
その言葉に周りのホストは目を見開いて驚く。
「で、でも・・・。ラブホばっかりでしたけど」
「いいんです。特にオーナーと何かするってわけでもないし。何かできるほど元気じゃないでしょ?」
私はちらっと柳沢さんの方を見る。
確かに、と頷くホストは軽く頭を下げて「オーナーを頼みます」と言ってきた。