【完】私は貴方を愛せない
翌日。
「・・・うわああああっ」
男の人の叫び声と共に目覚めた朝。
私はゆっくり目を開けた。
「な、なんで・・・どうして」
「ん・・・?」
「どうして、アンナちゃんと俺が同じベッドに?っていうか・・・ここは?ホテル!?」
「柳沢・・・さん」
慌てる柳沢さんを横目に私は体を起こす。
もちろんビデオカメラとデジカメはもうバックの奥底だ。
「その、私。やめた方がいいって何度も言ったんですけど・・・抵抗もしました。貴方には奥様や子供さんたちがいるって。でも・・・」
「そ・・・それ以上は言うな!」
「・・・はい」
「酔った勢いとはいえ、俺がそんな・・・。くそ、なんで何も覚えていないんだ」
「ごめんなさい。私が強いお酒をすすめた事と、あとこんな場所へ連れてきちゃったからですよね」
「いやアンナちゃん。君は悪くない。俺が・・・情けないだけだ。欲に負けて家族を裏切るような事をしたんだから」
彼の横顔は本気で後悔する人の顔だった。
何故今なのか。
後悔するべき場所は違うはずなのに。
ねぇ、貴方が後悔するのは人を殺めたあの時の事でしょう?