【完】私は貴方を愛せない
今日はちょうど彼が家に帰らない日だと私は知っている。
だから、奥さんがこのポストを見る事も分かっている。
「・・・絆が勝つか、私が勝つか」
にやりと笑って私は柳沢さんの家に背を向けて歩き出す。
すると、扉が開く音と共に奥さんらしき人が家から出てきた。
とても綺麗な人だ。
上品で、優しそうで。
そんな人がポストの中の茶色い封筒を取り出し、中に入っていた紙を見ると顔色が変わった。
急いで家の中に戻っていく。
私は立ち止まり、空を仰いだ。
今日も綺麗な青空だ。
きっといい天気になる。