【完】私は貴方を愛せない
私は店が終わったと同時に彼の家へと向かった。
彼の部屋は一戸建て。
新築のようだ。
家族と過ごしていた雰囲気がまだ残っている部屋の中。
けれど、何かが無くなってしまったポッカリ感。
奥さんと一緒に寝ていたであろう寝室にはダブルベッドがあった。
彼はそこに私を連れ込むと、押し倒すようにしてキスをしてきた。
奥さんを忘れるため。
子供たちの事を忘れるため。
傍にいると言った私に甘えているのか、本気になっているのかは分からない。
けれど、彼の体は熱かった。
私はそんな彼を受け入れる。
本当は抱かれていない彼に、今度は本当に抱かれる。
「・・・あっ」
「ねぇ、アンナちゃん。本当の名前・・・教えてよ。んっ」
「私・・・は。杏奈ですっ・・・んあっ」
「そっか、そのまんまなんだ。・・・可愛いね」
彼と何度もキスを重ねながら会話をする。
そして口から首筋、首筋から胸へと彼のいやらしい舌は進んでいく。
敏感なところに彼の熱い舌が触れるたびに私のいやらしい声が部屋に響く。
「ああっ・・・あんっ。柳沢・・・さんっ」
「祐樹って呼んで」
「祐樹・・・っ」
「うっ・・・杏奈。杏奈・・・!」
もう少し。
もう少しで、三人目の復讐のエンドが見えてくる。