【完】私は貴方を愛せない
とうとう合図が来てしまった。
彼に復讐を果たす合図が。
「・・・バツイチ男だけど。絶対幸せにする。絶対だ。もう同じ間違いなんて起こさない」
「はい!!」
私は彼に婚約指輪を受け取った。
精一杯幸せな笑顔を演じる。
「・・・祐樹。この指輪をつける前に一つだけ聞いておきたいの」
「どうした?」
「私には全てを教えてね。過去に何があったのか、隠し事とかも」
「隠し事?過去・・・?な、何もないに決まってるだろ」
「本当?」
「本当だよ」
「嘘ついてないよね・・・?信じるよ?」
私の言葉の威圧に負けたのか、祐樹はペラペラと過去の事を語りだした。
「ごめん。話す。・・・本当は誰かに聞いてほしかったのかもしれない」
「何かあるの?」
「ああ。ずっと俺の心の中だけに残っていた過去だ」
「・・・教えて?」
「分かった」
そう言って語りだした彼の過去。
それは全く今までの男に聞いたものと同じだった。
唯一違った事。
それは、"タクミ"の正体に近づいた事。