【完】私は貴方を愛せない
私はそれを知って心から震えあがった。
上手く言えない感情。
「・・・嘘」
「嘘じゃないよ。・・・俺も、びっくりしたんだけどね」
「それはタクミって人本人から聞いたの?」
「うん。本人から聞いたよ」
「そうなの・・・」
「これが俺の隠していた過去。・・・杏奈は?」
「わ、私?」
「うん。君も、隠してるだろ?何か過去の事を」
「・・・私はないよ。本当に」
祐樹は手元にあるワイングラスを持ち、香りをかいだ。
そして一口ワインを口に含む。
ごくんと飲みこみ、再び私を見てこう言った。
「俺を殺したいんだろ?」
私の復讐劇は
彼に全て読まれていた。
一体いつから?
何故?
私は全て完璧だったはずなのに。