【完】私は貴方を愛せない
祐樹は店員を呼び、ワイングラスにワインを入れてもらっていた。
店員が去った後もっていた鞄の中から小さな小瓶を取り出す。
そしてそれをハンカチにつつんで私に渡してくる。
「これは・・・?」
「秘密の液体。これを、俺と二人きりの時飲み物とか食べ物とかに混ぜて?・・・いつでもいいから」
「毒、だったりするの?」
「さぁ?教えてあげない」
「・・・貴方はそれでいいの?」
「うん」
「・・・本当に?」
「うん」
彼は断固として意見を変えなかった。
私は震える手でもらった小瓶を握りしめる。
「今日は俺の家に泊まっていきな」
「分かった」
祐樹と私はその後一言も語らず
お互いワインを飲み干した。
そして沈黙が続き、私たちは料理に手をつけず店を出た。
外に出て空を見ると、くもり空。
まるで私の心のようだった。
・・・復讐は、本当に正しい事なのだろうか。