【完】私は貴方を愛せない


彼の言葉に、私は心が揺らいだ。

揺れに揺れて胸が苦しくなる。



復讐する。しない。

・・・私は決断を迫られていた。



「杏奈」


「何?」


「早くしないとタクミに追いつけないんじゃない?」


「え?」


「俺とこのまま幸せになっていいの?」


「・・・」


「なーんてな。よし!風呂入ってくる」


彼は私の返答も聞かずお風呂場へと行ってしまった。


その姿を見送り、私もキッチンへと立つ。



いつものように手料理を作り彼の笑顔を見るのだ。


けれど、今日の私の両手にはあの小さな小瓶が一つ。









「もう後戻りはできないの」







ぎゅっと目を閉じて水を入れた鍋の中に2、3滴入れた。


透明な液体がすーっと鍋の中へと混じっていく。



すぐに一体化してしまった。


そして私はすぐにその鍋の火をつける。

ぐつぐつと湧きあがってくる。



煮る事でその小瓶の効果が消えてくれればと願うほどに私はアツアツにした。
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