契約妻ですが、とろとろに愛されてます
運ばれた夕食をただつついている所へ琉聖さんが入ってきた。


ほとんど残っているお皿を見て顔を顰める。


「食欲がないのか?」


「食べたくないの……」


ベッドの端に琉聖さんは腰をかける。困ったと言うように小さくため息を吐いたのがわかった。


「……外へ食べに行くか?」


俯いていた私は驚いて琉聖さんを見る。


外へ食べに行く?


「そんなことが出来るの……?」


半信半疑に聞く。


「玲子に許可してもらおう」


琉聖さんが私に悪戯っぽく微笑む。


ずっと外に出ていないから琉聖さんの言葉は魅力的だった。


「ちょっと待っていろ」


琉聖さんは玲子先生に許可をもらう為に病室から出て行った。


玲子先生と一緒に戻って来た時は驚いた。まさか玲子先生が来るとは思わなかったから。


「しっかり美味しいもの食べてくるのよ?あ!生ものはだめよ?好中球が下がっている時には良くないの」


ベッドに掛けられたカルテを見ながら玲子先生は言った。


「はいっ」


外に出られるって言うだけでウキウキしてくる。


ふふっと笑うと「デート、楽しんできてね」と言い玲子先生は病室を出て行った。

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