契約妻ですが、とろとろに愛されてます
******


目を覚ました時、隣に琉聖さんはいなかった。


「琉聖さん……?」


ゆっくり起き上がり眩暈がしないか確かめる。身体を起こすと眩暈がするパターンが多いのだ。


時計を見ると八時を過ぎていた。時間が私を現実に戻す。


病院に帰るんだ……嫌だな……。


私は重いため息を吐くと、バスルームに向かった。シャワーが終わると、以前買ってもらった半袖のワンピースを着る。


病院に帰る時にジャケットを着ようと手にしてウォークインクローゼットを出ると、ちょうど琉聖さんをばったり会う。


「おはようございます」


「起きて大丈夫か?」


琉聖さんは私の顔色を見て聞いた。そんなに心配になる顔色なのだろうか?


「はいっ 今日は眩暈もないし」


琉聖さんににっこり笑って言う。


「良かった 朝食にしよう」


琉聖さんは私の手を握り、ダイニングルームへ向かった。部屋に近づくと、香ばしい焼きたてのパンの匂いがした。


「また……頼んだんですか……?」


ダイニングテーブルの上には、前回と同じくホテルのような朝食が並んでいたのだ。というか、近くのホテルに頼んでいるので、ホテルの朝食なんだけれど……。

< 127 / 307 >

この作品をシェア

pagetop