契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「何があった?話してくれないとわからない」


俺の手が柚葉の肩に触ると、シーツの下の身体がビクッと跳ねた。そこへノックがあり看護師が夕食を持って入ってきた。


「あとはやっておきます」


俺は食事を受け取ると、看護師は「お願いします」と言い出て行った。


「食べるんだ」


ベッドの上にテーブルを足元に設置して食事を置く。


柚葉はじっとしたまま動かなかった。


「ゆず、何をすねている?」


柚葉はゆっくり身体を起こすと、真っ赤になった目を俺に向ける。


「琉聖さん……婚約を解消してください」


「婚約を解消?」


まさか柚葉の口からその言葉が出るとは思っていなかった。


「そうです」


「何があった?誰が来たんだ?君に何を言った?」


俺から目を逸らした柚葉の肩を掴み聞いていた。


「これ……」


引き出しの中から柚葉が出したのは写真だった。写真を俺に押し付ける。


「何の関係が……?」


俺は俯く柚葉から写真に目を移した。


映っていたのは自分と菜々美、ニューヨーク支社で働く重役秘書だった。

< 139 / 307 >

この作品をシェア

pagetop