契約妻ですが、とろとろに愛されてます

女性

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「ん……」


太陽の眩しさに顔をしかめ寝返りを打ったその途端、背後からぐいっと引き寄せられる。


「え……?」


引き寄せられたまま固まってしまう。


こ、この腕……は?


おそるおそる身体を反転させると、アンバーの瞳と目が合った。


太陽の明るい光で彼の瞳が金色に見える。


「きゃっ!」


飛び起きて自分が昨日のワンピースを着ていることにホッと肩を撫で下ろす。


見事に皺になっているワンピースを見ながら、なぜこんな状況になっているのか思い出そうと顔を顰める。


「私……?」


真宮さんの彼女が去ってからの記憶がない……。


「たかが一杯のカクテルで眠ってしまうとは」


楽しそうな押し殺した笑いが聞こえてくる。


「っ! だから言ったでしょ! お酒は弱いって」


何も無かったからといって、男性と朝を迎えること自体、初めての私はパニック寸前だった。


「な、何も無かったですよね……?」


ワンピースの皺を手で撫でつけながら、まだベッドに横たわり片腕で頭を支える彼を見る。


「あいにく酔っ払っている女とはしない」


その時、真宮さんの姿を見てギョッとなる。


今更気づくのも遅いけれど、真宮さんの上半身がハダカだった。


弟の上半身は見慣れているけれど、見知らぬ男性のハダカ、しかもベッドの上。私は慌てて背を向けた。


「何か着てください……」


動揺して出た声は震えていた。


「男と朝を迎えたことが無いのか?」


私の反応に面白がる声がした。


「貴方に教える必要はありません」


真宮さんの問いに、私は背を向けたままぶっきらぼうに言った。

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