契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「こんな場所で言う言葉じゃないな 雰囲気の良い所で女の子が憧れるプロポーズをするべきだと思う だが、俺がどう思っているか知って欲しかったんだ」


「そんなことないっ!嬉しい 私も……琉聖さんを誰にも取られたくないくらい愛しています」


嬉しいのに溢れ出す涙が止められない。胸が熱くて、鼓動がドクドクと早い。


「ゆず」


琉聖さんの指が顎にかかり、そっと上を向かされると優しいキスが落とされた。


こんなに幸せでいいのかと抱きしめられながら頭の片隅で思った。幸せすぎて何かが起こりそうで怖い。そんな感覚を拭いきれない気持ちがあって、琉聖さんの胸の中で小さく頭を振ってしまう。


「疲れただろう?少し休んだ方がいい」


眠りたくない。このままこの幸せに浸っていたい。だけど、身体は睡眠を求めているみたいで、自然と瞼が落ちてきた。



******


数時間後、すっきりした気分で目が覚めた。まず目を覚まして琉聖さんを探す。


いてくれた……。


琉聖さんはソファに座り腕と脚を組んで目を閉じていた。そんな姿も素敵で心臓がトクンとなった。


寝ているの?


太陽が落ちかけている薄暗い部屋。テーブルを見ると上に書類やノートパソコンが開かれてある。


私は音をたてないように起きて、足元の膝掛けを手にした。琉聖さんに近づき、膝掛けを起こさないようにかける。


「ん?ゆず」


目を開けた琉聖さんは私を見ると微笑んだ。


「琉聖さん、こんな所で寝ないでね?風邪を引いちゃう」


「ありがとう 時差ぼけみたいだ」


そう言う琉聖さんは疲れているようだった。よく見るとうっすら目の下にくまが見える。


「私は大丈夫だから マンションに戻ってゆっくりして」


病室のドアがノックされた。琉聖さんは腕時計を見た。


「夕食か……」


琉聖さんが返事をすると、看護師さんがトレーを持って入って来た。


「琉聖さんもお腹空いたでしょう?食べてきて?」


「ゆずが食べたら少し出てくるよ」


琉聖さんは私が食べ終わるのを見てから出掛けて行った。
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