契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「柚葉さん、お食事ですよ」


顔見知りなった看護師さんに起こされて、私は眠い目をこすって起きあがった。


「大丈夫?今日はお客様で疲れちゃった?」


二十代半ばの看護師さんは眠そうな私に微笑む。


「そんなことないです」


目の前に食事のトレーが置かれるとゆっくり食べ始めた。食べ始めるのを見届けて看護師さんは出て行った。


やっぱり美味しくない……。


しっかり食べようと思ったものの、なかなかお箸が進まない。


そこへ静かにドアがノックされて、会いたかった人が入ってきた。


「琉聖さんっ!」


「食事中だったか」


琉聖さんはカバンをソファに置いて側に立った。


「あまり進んでないな」


お皿の中身が減っていないのを見て顔を顰めている。

< 151 / 307 >

この作品をシェア

pagetop