契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「あぁ 仕事もすぐには復帰出来ないだろう?うちでゆっくり療養したらいい」


「それなら家でも……」


「ゆず、一緒にいて欲しいんだ それに言っただろう?退院したら結婚しようと」


心を溶かすような甘い眼差しで見つめられて嫌なんて言えなくなる。嫌なんて思っていないけれど……。


「籍を入れて、落ち着いたら結婚式を挙げないか?」


「結婚式は……」


綺麗なウェディングドレスを着て、結婚式を挙げるのは夢だけど、真宮家ともなれば、簡単な結婚式では済まされそうもない。私は戸惑い、次の言葉が出てこなかった。


「結婚式は?」


「結婚式はしたくないって言ったら……?」


「それは出来ないな」


「そうだよね」


やっぱり真宮家のひとり息子の結婚式ともなれば大々的な式は免れないよね……。


「身体を考えて、来春に式をあげよう だが、ゆずが考えているような大規模の式をするつもりはないよ ゆずを紹介するのならパーティーに出れば済むしな 来春ならばウェディングドレスもオーダー出来る ゆずのドレス姿を早く見たい」


ちゃんと私のことを考えてくれる。


私は自分から琉聖さんの首に腕を回した。


******


待ち遠しかった一週間が経ち、やっと退院の日がやってきた。まだ無理の出来ない私の為に、自宅で退院パーティーをやろうとお姉ちゃんが提案してくれた。修二さんと麻奈も誘っている。


抜けれない会議がある琉聖さんの代わりに、修二さんと麻奈が病室に来てくれて、荷物を片付けるのを手伝ってくれた。


片付け終わった頃、琉聖さんが病室に現れた。


「用意は終わった?」


「はいっ」


私がいつになく明るい表情で返事をすると、琉聖さんも楽しそうに笑みを返してくれた。

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