契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「お袋、柚葉が驚いている 離れろよ」


琉聖さんは私の腕を掴むと、貴子さんから引き離して引き寄せる。


「まったく いいじゃないっ 琉聖は毎日柚葉ちゃんに会っているでしょ」


「今日はお邪魔します これ、買ってきたもので申し訳ありません」


恐縮しながら貴子さんに菓子折りを渡した。


「気を使わせちゃったわね 良かったのよ~」


優しく微笑まれて少し私の緊張が解けた。


「さあ 入って入って」


貴子さんの勧められるままに、広い玄関でパンプスを脱ぎスリッパを履いて上がる。


「今日の柚葉ちゃんの装いも可愛いわ~ 早く一緒にお買い物行きましょう」


今日の私の装いを褒めてもらって嬉しい。琉聖さんのアドバイスで、水色のシャツワンピースを選んだ。胸の位置にゆるくギャザーが入り、前で結んだリボンで更に女らしい雰囲気になる。ラフ過ぎず、かしこまった装いにならないように気を使ったことは確かだ。


「琉聖さんが選んでくれたんです」


「そうなの~?琉聖は趣味はいいから」


すんなりと琉聖さんを褒める貴子さん。自慢の息子らしい。無理もないと思う。私にも琉聖さんみたいに頭脳明晰で容姿端麗、スポーツも万能とくれば自慢の息子になる。

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