契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「あなた~ 琉聖と柚葉ちゃんが着いたわ」


貴子さんがドアを開けると意外なことに室内は洋風の造りになっていた。


「めちゃくちゃだろ?お袋の趣味で数年前に改装したんだ」


琉聖さんは私を促すと室内へ足を踏み入れた。


「でも……すごい……ステキ」


部屋は三十畳ほどありそうなくらい広くて、素敵なロココ調の家具が配置よく置かれている。


その一人用のソファに琉聖さんを年取らせたようなまさにロマンスグレーと言った風の男性が座っていて、私達が入ると立ち上がって迎えてくれる。


「急なのによく来てくれたね 琉聖の父です」


笑みを浮かべて、私に手を差し出すと握手を求めてくれる。


「は、はじめまして 下山 柚葉と申します」


私はしっかりと手を握り、深々とお辞儀をした。


「素敵なお嬢さんだな 琉聖」


「ほら、柚葉ちゃん、どうぞ かけなさいな」


貴子さんが目の前のソファを示すと、琉聖さんは私を先に座らせ自分も座った。


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