契約妻ですが、とろとろに愛されてます
******


部屋に着くと、琉聖さんは両腕にたくさんの荷物を床の上に降ろした。


「お土産たくさんいただいちゃったね」


貴子さんは香港旅行から一昨日帰ってきたばかりだった。たくさんのお土産を私の為に買ってきてくれた。貴子さんは笑いながら「少しなんだけど」と言って渡してくれたけれど、その量は少しのお土産とは言えないくらいある。貴子さんが別の部屋から次から次へと出してくる紙袋に琉聖さんはだんだんと呆れた顔になったのを思い出す。


琉聖さんが床に置いたお土産を見てフッと笑ったのが目に入る。


「琉聖さん、どうして笑ってるの?」


「相当、ゆずが気に入ってるんだなと思ったらおかしくなったんだ」


「こんなにたくさん……どうしよう……」


紙袋や箱から一つずつ丁寧に物を出しているとその凄さに戸惑って来た。


「どうした?気に入らないものでもあった?お袋の趣味はけっこう派手だからな」


「ううん、違うの いいのかな?こんな高い物ばかり……」


ブランドの中でも高いと言われているバッグや財布、革の手袋や、化粧品まで。女の子が欲しいと思う物が目の前に広げられている。


それらを見ていると、琉聖さんと性格が似ていることに気づいた。琉聖さんもプレゼントを贈るのが好きで良く似ている……。


「使っている所を見せれば喜ぶよ 娘がいなかったから買うのが楽しいんじゃないかな」


「そうだね ありがたく使わせてもらうね」


「ああ、それより……ゆず」


琉聖さんがフローリングの上にペッタリ座っている私を立たせる。


「俺はゆずが欲しい」


抱き引き寄せられて、顎に手がかかり上を向かされる。顔が近づいて来て唇が重なった。


「……んっ」


唇を重ねながらワンピースの胸のボタンを指が器用に外していく。


「りゅ……待って……っ」


私の微かな抵抗に琉聖さんの指が止まる。

< 165 / 307 >

この作品をシェア

pagetop