契約妻ですが、とろとろに愛されてます
苦しくなって手で琉聖さんの胸を叩くといやいや唇が離れた。


「っはぁ……」


唇が離されると空気を求めて喘いでしまう。


「大丈夫か?」


「う……いきなりなんだから……」


「当たり前だろ?いつもしているじゃないか?」


しれっと言う琉聖さんに私は呆れた顔になる。


「今日は麻奈と修二さんがいますっ」


「だからここに呼んだんだ 人前でも俺はかまわないが、ゆずが嫌だろう?」


私の髪をゆっくり梳くと琉聖さんは笑う。


「着替えるから先に行ってていいよ」


もうっ 自分勝手なんだからっ なんか……出て行くの恥ずかしいよ……。


ドアの向こうで起こったことなんてわからない筈なんだけど……。


だけど、リビングに戻るとなぜかニヤニヤした顔のふたりを見て急激に体温が上がった気がしてキッチンの中へ引っ込んだ。


琉聖さんが普段着に着替えてくると、話に加わった。ホテルからの出張された料理を麻奈達は楽しんでくれた。食事が終わるとリビングルームへ移り、コーヒーと数種類の小さく取り分けたケーキがテーブルに並べられた。


「いいな~ ゆず 毎日こんな生活なの?」


麻奈が羨ましそうに聞かれる。


「う、うん……」


「そんなに羨ましいのか?」


麻奈のあまりの口調に、修二さんが身を乗り出して聞く。その姿はなんだか焦っているみたい。


「あたりまえじゃない」


麻奈は修二さんの焦りを見て笑い、肩をバシッと叩いている。


「ま……普通の男は出来ないわよね」


「そうに決まっているだろ」


叩かれた肩が痛かったのか、修二さんは擦りながら答えた。

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