契約妻ですが、とろとろに愛されてます
私は琉聖さんの言う通りに大人しくベッドに戻った。目が覚めて琉聖さんがいなくて心細く探しに行ってしまった。


琉聖さん、怒っているよね……我が侭ばかり言ってどうかしていた。玲子先生の言う通り、入院した方が良いのかもしれない。


そんなことを考えていると、琉聖さんが夕食をのせたトレーを持って入ってきた。


「少しでも食べた方がいい」


一度トレーをベッドサイドの台に置いて、私が起き上がるのを手伝ってくれる。


「はい……」


トレーには、おかゆにシャケ、梅干、子持ちこんぶの和食のお皿がのっていた。


しっかり食べよう……私は琉聖さんが見守る中、食べ始めた。


琉聖さんは全部食べられた私を見て安堵している表情になった。トレーを片付ける為に部屋を出て、薬と水を持って再び入ってきた。黙って私の手に薬と水を渡してくれる。


薬を飲むと、琉聖さんがベッドの端に腰をかける。


「ゆず、酷くなると骨髄――」


「琉聖さん、少しのドライブだったけど楽しかったです」


琉聖さんの言葉をさえぎって言う。今の社会、ネットは充実しているから自分の病気がどんな病気なのかはわかっている。私は不安だった。このままで本当に治るのか、琉聖さんと一緒になってもいいのかと、ずっと考えていた。


「私は……琉聖さんに相応しくないから……」


泣かないように懸命に涙を堪える。


「何を言っている……?相応しくないとは?」


「病気は良くならないし、琉聖さんに迷惑ばかりかけているし……我が侭で……」


琉聖さんの腕が伸びて、私の身体が引き寄せられた。

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