契約妻ですが、とろとろに愛されてます
ひとりでテレビを見ながら佳代子さんの作った料理を口に運ぶ。いろいろな職業の若い女性達が身近なことを暴露する番組。秘書もいて上司との不倫を赤裸々に話をしてお笑いの司会者が突っ込みを入れている。


食べるのを忘れてテレビを見てしまう。


秘書と上司……さっき電話で聞いてしまった秘書がテレビの彼女と重なってしまう。琉聖さんの秘書は男性の桜木さんだと安心していたけれど、あれほどの会社なのだからまた他にも役員付きの秘書がたくさんいるはず。たぶん、さっきの女性は桜木さんの下で働いている女性だと考えた。


私を愛しているとわかっているのに、嫉妬してしまう。


「あっ……!」


ふと、自分の左手に目を落として驚いた。絆創膏が真っ赤に染まりテーブルの上に血がたれている。


「どうしよう……止まっていなかったなんて……」


止まらない血を見て泣きたくなった。


テーブルの上に置いた携帯電話を手にする。琉聖さんかけようとした指が止まる。


「だめ……お仕事がある」


私は指にハンカチを巻いて、バッグとコートを手にした。

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