契約妻ですが、とろとろに愛されてます
玲子先生はまだ医局にいたようですぐに現れた。すぐに私の指の傷口を見る。


「切ってからどのくらい経っているの?」


「そんなには……二時間くらい……」


「バカね 誰もいなかったの?ひとりで来るなんて」


真剣な表情で怒りながら、玲子先生は輸血用の針を私の腕に刺す。


「たいした傷じゃなかったんです……」


「まったく……」


怒りを通り越して呆れた様子に私は何も言えない。騒がせてしまって申し訳なくて気分が滅入る。


「琉聖さんは知っているの?って知っているわけ無いわね?」


「はい……」


「琉聖さんに連絡するわ」


「駄目ですっ!」


連絡をすると言われて飛び起きると、再び眩暈に襲われて額に手が行く。


「起きてはダメよ、寝ていなさい」


「電話しないで下さい お仕事が忙しいんです」


「どちらにしてもわかってしまうわよ?今日は病室で様子を見なければならないから」


「そんな……病院に泊まらないとダメですか?」


「輸血しているのよ?眩暈も酷いみたいだし、今日のことは琉聖さんに黙っているわけにはいかないわよ?」


「……」


「まだ時間がかかるから眠っていなさい」


琉聖さんに連絡をしてしまう……それだけは避けたかったけれど……私……何をやっているんだろう……。
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