契約妻ですが、とろとろに愛されてます
腰の重みに気がついて私はお昼寝から目を覚ました。目を開けて思わず小さな声を上げて驚いてしまう。目の前に琉聖さんの端正な顔があったから。


……琉聖さん、寝てる……。


長い睫や高い鼻梁をまじまじと見つめ、久しぶりに体温が感じるくらいの場所にいて嬉しくなる。


琉聖さんもお昼寝……?珍しくて、どこか具合でも悪いのかと思ってしまう。長い睫毛に指先をほんの少しだけ触れてみる。本当は頬にも唇にも触れたい。でも触れたら起きてしまうはず。睫毛に触れても目は覚めなかった。


大丈夫かな?疲れているんだよね……。


琉聖さんの寝顔を見ていると、わけもなく嬉しくなる。ほとんど琉聖さんの寝顔を見たことがないことに気づいた。


このまま目が覚めるまでじっとしていよう。


琉聖の顔を見つめていると、目を閉じながら琉聖さんが口を開いた。


「もういいか?」


「琉聖さんっ、起きていたのっ!?」


驚きの声を上げると、琉聖さんは片目を開ける。


「寝ていたが、ゆずが起きる少し前に目が覚めた」


「えっ、じゃ、じゃあ、見ていたのも知ってた?」


「もちろん 睫毛に触ったのも知っている」


まじまじと見ていたのを知られてしまい、恥ずかしさで顔はもちろんのこと、耳まで真っ赤になった。


そんな私を琉聖さんはフッと笑って、髪に指が差し入れられた。


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