契約妻ですが、とろとろに愛されてます
私の髪を何度も梳く長い指、こんなに近くに顔がある……。


私は自分から琉聖さんのキスを求めて、身体を起こして唇を重ねた。


「ゆず?」


琉聖さんがびっくりしている様子に、私はニコッと笑みを浮かべた。


「琉聖さんからしてくれないから……」


上唇を啄むようにキスをした後、そう言った。


「誘っているのか?ゆずの横で寝るのが、どんなに自制心を必要とするのかわかっていないな」


琉聖さんは絆創膏の貼られている指にそっと唇を押し当てると唇を重ねた。


「んっ……」


キスはだんだんと深くなって、頭の芯が痺れたような感覚になっていく。


琉聖さんが唇を離した時、甘く痺れるキスの余韻に動けなかった。


ぼんやりとする頭に琉聖さんの携帯が鳴っているのが聞こえてきた。琉聖さんは舌打ちするとサイドテーブルに手を伸ばす。


「はい?あぁ わかった アレンに電話をする 書類はメールで送ってくれ」


携帯電話を切った琉聖さんはベッドから降りた。


「ちょっと電話をかけてくる ゆずはまだ横になってろよ」


身体を起こした私の髪にそっとキスをして寝室を出て行った。

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