契約妻ですが、とろとろに愛されてます
翌朝、目が覚めると隣に琉聖さんはいなかった。ガウンを羽織ってリビングに行ってみると、佳代子さんがリビングルームを掃除していた。佳代子さんは私に目をとめ掃除機を止めた。


「おはようございます 佳代子さん」


「おはようございます 柚葉様 このたびはおめでとうございます」


「あ、ありがとうございます」


佳代子さんの丁寧な言葉に、頭を下げてお礼を言う。


「このお花は?」


リビングにたくさんの花かごが置かれている。


「旦那様と貴子様からのお祝いのお花です」


昨日の夜入籍したばかりなのに……やることが早い……さすが貴子さんだ。


部屋の中が華やかになって嬉しい。


「おはよう ゆず」


琉聖さんがいつの間にか後ろに来ていた。肩に手を置かれ頬にキスをされる。


「おはよう……」


琉聖さんはチャコールグレーのオーダーメイドスーツを着ていた。出勤には少し遅い時間だけれど、これから仕事に行くらしい。


「そうだ!琉聖さん、昨日言っていたお仕事、どのフォルダに入っているのか教えて下さい」


「急がないからゆっくりでいいからな?佳代子さん、柚葉が書斎にいるのは一時間だけにさせて下さい」


止められなければ、ずっと書斎に居そうだと思ったのか、琉聖さんは佳代子さんに頼んでいる。

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