契約妻ですが、とろとろに愛されてます
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「桜木、パスポート申請用の写真の手配をしてくれ」


「桜木さん、ごめんなさい 余計な手間を取らせてしまって……」


写真ならどこでも撮れるのにと……自分の用事で桜木さんが忙しくなるのが申し訳なく思える。


「いいえ、たいしたことではありませんので」


桜木さんは一礼して出て行った。


執務室に到着すると私をソファに座らせた琉聖さんは大きな重厚な造りの執務机の向こうに回りコートを脱いだ。


ネクタイも一本の指を結び目にかけて少し緩ませている。


その姿が妙に胸がドキドキしてしまう。


「どうした?」


私がポケッと見ているのに気づき、琉聖さんが首を傾けながら聞いてくる。


「え……あの……ネクタイ……」


「ああ、会議も外出も何もない日はこうするんだ」


寝る時はパジャマの上を着ないし、どうやら締め付けられるのが嫌みたいだと私は思った。

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