契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「ね?少し……!」


指を見せると、琉聖さんがその指を口に含んだ。


「りゅ、琉聖さんっ!」


指を口に含まれた瞬間、ドキッと大きく心臓が高鳴った。


私の指を琉聖さんは舐めとるように舌を動かす。指先なのに身体の芯がジンと痺れてくる。


「傷が浅くて良かった……」


傷の具合を診ようと口から離れた指先を見て琉聖さんは呟くように言った。


「ごめんなさい……ありがとう……わ、私帰ります!お仕事の邪魔だから」


立ち上がると、腕をグイッと引かれて座らされる。


「一緒にランチを食べる約束だろう?……確かに君がこの部屋にいると気になって集中できないが」


琉聖さんは私の肩をそっと抱き寄せてくれる。


「お仕事の邪魔はしたくないです……」


「邪魔じゃない 俺が集中できないだけだ いつの間にかゆずのことを考えている」


「琉聖さん……」


頬を指の甲で撫でられてから、琉聖さんの顔が近くなり私の唇は奪われていた。


「だ、だめですっ!仕事場でキスはっ!」


たくましい胸板に手を付き、思いっきり身体をずらす。そんな私に琉聖さんが苦笑いをしている。


「ゆずはお堅いな……」


すこしつまらなそうな口調は、珍しく子供みたいだなと思ってしまう。


「お堅いんじゃなくてモラルの問題ですっ も、もしかしたらここでキスをしたことがあるとか……?」

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