契約妻ですが、とろとろに愛されてます

慎の事故

「ってことなの……」


「そんなことがあったなんてびっくりした～」


麻奈が目を丸くして言う。


「ごめんね　もう会わない人だと思っていたから黙っていたの」


長々としゃべったせいで喉が渇き、アイスティーを口にした。


「なんかあやしい……裏がある気がする」


麻奈も無くなりかけているアイスティーを飲んでから言う。


「あやしいって？」


「何で柚葉の勤めている会社を知っていたの？話したの？」


「言ってない……」


「あの日にばったり会ったのもおかしいじゃん　修二は真宮さんと大学からの仲なんだよね」


麻奈は何かあると、恋人の修二さんを疑い始めた。


「後で会うから問い詰めるわ！」


麻奈の剣幕に私は笑ってしまった。


「いいよ　もう済んだことだもん　このことで麻奈達が仲悪くなったら困るよ」


「モテすぎるのも困ったもんだわね　真宮さんって女性と本気で付き合わないらしいよ」


「そうかもしれない……あの時も別れ話のだしに使われたし、よくあることなのかも」


「あのルックスだから女がほっとかないんだよね　一夜の甘い夢がずっと続くのを夢見ちゃうんじゃない？」


「あの女の人、まだ納得いかなかったみたい」


「柚葉、本当に一夜を過ごして何も無かったの？」


「うん、真宮さんのタイプじゃないみたい」


喜んでよいのか……私に魅力が無いんだなと思うと空しくなる。タイプじゃないから平気で無神経な提案をするんだ。


「まあ、聞くところによると派手な女性とばかり付き合うって聞いているしね　あれ？柚葉、腕があざになってるよ。どこかぶつけた？」


麻奈に言われて右の腕を見ると、紫色になっているあざがあった。


「ん……覚えていないけど、痛くないから大丈夫だよ」


そこをそっと撫でて言った。

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