契約妻ですが、とろとろに愛されてます
麻奈の明るい調子に笑顔を浮かべる。


『明日はイブだね?真宮さんと予定はあるの?』


「うん、真宮の実家のクリスマスパーティーに行くの」


『すごい! おしゃれしていくんだね?』


「皆ドレスアップしているんだって」


『柚葉なら何を着ても似合うから大丈夫だよ あ、電車来ちゃった またね』


「うん 気を付けてね」


電話が切れる時、電車の音が聞こえてきた。


話している時は楽しかったけど、電話を切ってしまうと空しさが残った。まだ六時を過ぎたばかりで、年末に向かって忙しい琉聖さんの帰宅はまだまだだろう。


私は琉聖さんの為にセーターを編んでいた。彼に似合いそうなダークブルーの毛糸。佳代子さんに頼んで、お買い物のついでに買ってきてもらい久しぶりに編み物をしてみた。


琉聖さんからたくさんのプレゼントをもらってばかりで、私からは何もしてあげていない。


なに不自由ない琉聖さんに何をクリスマスにプレゼントしようかと考えた末に決めた手編みのセーター。


付き合っている時にそんなモノを贈られたら、相手は引いてしまうと聞いたことがある。


だけど結婚しているんだから、そんな心配はないよね?


そう思って丁寧に編み始めた。

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