契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「ゆず!」


「りゅ……せい……さん……ごめ――」


「何も話さなくていい!」


一言話すだけでも苦しそうな柚葉を制し、ナースコールボタンを押す。


「痛む所は?苦しいだろう? すぐに玲子がくる」


柚葉は力なく小さく首を横に振る。


ナースステーションに詰めていた玲子と看護師はすぐに現れた。


俺はベッドから少し離れ、玲子の診察を遠巻きに見ていた。


「めまい、動悸は?」


玲子が聞いている。


「嘘を吐いては駄目よ?」


どうやら柚葉は大丈夫だと答えたらしい。


「はい……本当に動悸も……眩暈もありません……」


「本当なのか?」


話す柚葉の瞼がゆっくり閉じる。


「眠い……です……」


「ゆず?」


再び瞼を閉じてしまった柚葉が心配になる。


「大丈夫よ 眠っただけだから」


モニターを確認した玲子が俺に言う。


「琉聖さん、話があります 三十分後に診察室へ来てください」


玲子の緊張した口調を聞き、いい話ではないだろうと感じた。

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