契約妻ですが、とろとろに愛されてます
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私の病気は良くなるどころか悪くなっているのがわかった。酷い眩暈と吐き気、時には鼻血、頭が割れそうなほど痛くなったり、心臓が痛いくらいの動悸。以前感じたことのない感覚に襲われている。


薬はほとんど効いていないように思える。


以前、琉聖さんが言ってくれた言葉を思い出す。


『世界中を探してでも適合者を見つけるから』と。


それはたぶん……無理……。


入院して三ヶ月経ってしまった。琉聖さんのことだから必死で探してくれているはず……。


いつ適合者が見つかるかわからない。それまで私の命がもつかどうか……。


正直言えば……辛い検査や治療が嫌になっている。


こんなに辛い検査をこれから何度もしなくてはいけないのなら死んでしまいたいと思ってしまう。


私の気持ちの中で、死んでもかまわないと思い始めていた。死ねばこんな辛い思いをしなくて済む……。私の気持ちは折れかけていた。


唯一、心残りなのは琉聖さんとお別れしなくてはならないこと……それを考えただけで悲しくて胸が潰れそうなほど痛み、気が狂いそうになる。


だけど……残された方が悲しいのかもしれない。私は思い出を持って逝けるから……。


両親が突然の交通事故で亡くなった時、残された私達姉弟はいつまでも両親を求めて悲しんだ。そんな経験から、残された方がはるかに辛いことを知っている。


死んだら琉聖さんには早く私を忘れて欲しい。そして愛する人を見つけて幸せになって欲しい……。


悲しみをいつまでも引きずらないで欲しい。


最初に出会った時のように自信家で……ちょっと意地悪な琉聖さんに戻って欲しい。

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