契約妻ですが、とろとろに愛されてます
麻奈が帰ると、無性にここから出たくなった。


家に帰りたい……どうせ治らないのなら病院でじっとしているなんて嫌……。


そう思うと絶対に帰りたくなった。誰がなんと言おうと帰る。


でも……もう一人の自分が家に帰れば琉聖さんに迷惑がかかると言っている。


外に出られないまま死ぬのだろうか……。


夕暮れの空を見つめながら心が沈む。


そのあと、玲子先生の回診の時に私は止めるもう一人の自分を無視して「家に帰りたい」と言った。


「柚葉さん……無理なのはわかっているでしょう？」


玲子先生は表情が硬い私に言い聞かせるように言う。


「帰らせてください」


「柚葉さん……」


「子供っぽいと思われるかもしれませんが、ここにいるのが苦痛なんです」


無表情のまま玲子先生にお願いする。


玲子先生は私の顔をじっと見て考え込んでしまった。


「……玲子先生……私はもう長くないんですよね……？」


「柚葉さん！」


私の言葉に玲子先生は愕然となった顔になった。


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