契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「眠かったら眠らなくてはだめだ。無理して起きていては身体に負担がかかる」


ベッドの端に腰をかけると柚葉の髪を撫でた。


「はい……」


「家に帰りたいって?」


「ぇ……玲子先生から……?」


「ああ、その願いを叶えてあげよう」


俺を戸惑いの表情で見つめる柚葉。


「願いを叶えてくれるの……?」


「家に帰ろう ゆず」


柚葉の点滴を打っていない右手を握る。


いつも冷たい小さな手。


一瞬嬉しそうな表情になったが、すぐに悲しそうな顔になり、隠すように目を閉じる。


「ダメ……迷惑がかかる……」


「迷惑なんかじゃない。もっと甘えて欲しい 俺達は夫婦なんだから」


目を閉じた目尻から流れ落ちた涙が枕に落ちる。


「ゆず」


俺はハンカチをポケットから出すと涙を拭いた。


「準備が出来次第退院だ 何も考えずにもう寝るんだ」

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