契約妻ですが、とろとろに愛されてます
琉聖side


柚葉は眠った。その寝顔は今までの恋人たちより幼く、俺のした行為を悔やませるほどだ。


しかし心とは反対にその無防備な顔を見ていると、キスで起こしもう一度先ほどの行為を繰り返してしまいそうだった。


見ていられずにぐっすり眠っている柚葉をベッドに残し、俺は寝室を離れた。


書斎に行っても落ち着かなく、考えるのは俺の寝室に眠っている女だった。


……柚葉は今まで付き合った女と違っていた。彼女が処女だとわかった時には止められない所まで来ていた。男に触れられていない彼女……セフレまでいた俺なのに、まだ誰にも触れられていない清らかな身体に欲情して貪欲に柚葉を欲した。


今時あの年で処女だったとは不思議な女だ。そういえば、大金を欲しがるくせに他のものは欲しがらなかったな。


指輪を売ればいいと言った時、悲しそうな顔を隠していたのが印象的であの表情は今でも忘れられない。


俺は誤解しているのだろうか?腕の中の華奢な身体が愛おしいとさえ思えた。いや、……柚葉も他の女と同じだ。セックスと金、俺の地位しか見ていない女のはず。


隣の寝室で物音で物思いから我に返る。


寝室に戻ると柚葉はシーツを身体に巻きつけてベッドの下に座り込んでいた。


俺の姿を認めると、柚葉の漆黒の瞳が不安げに泳いだ。そして立とうとすると、脚の力を失ったように床に座り込む。


「まだ動けないだろう?」


俺は頼りなげな柚葉に近づくと、包まれたシーツごと抱き上げベッドに座らせる。


柚葉は俯いたまま何も言わない。


その姿は演技をしているのか、素なのかわからない。


「どこへ行くつもりだ?」


「あ、あの……シャワーを……」


ベッドに座らせた時に、巻きつけていたシーツがずれて柚葉の白い胸の膨らみが目に入る。


俺は手を伸ばして柚葉を抱き寄せていた。もう一度柚葉の身体を堪能したくなった。


白い肩やうなじ、背中にキスを落とし赤い斑点を散らすと、柚葉は身をよじり甘い声を漏らす。


「っ……あ……」


柚葉の甘い声を聞いて、俺は華奢な身体を押し倒した。


「りゅうせい……さん……?」


「まだだ もう一度君が欲しい……」


一瞬、驚いたように目を大きくしたが、有無を言わさないよう唇を重ねると、柚葉は抵抗しなかった。


処女だったのに再び抱く俺は酷い奴だと思いながらも、柚葉を欲する気持ちは薄れなかった。


柚葉はセックスが終わっても今度は眠らなかった。呼吸と髪を乱し、俺の腕の中にいる。寄り添われていると再び欲望が沸き上がる。


俺はどうしたんだ?まるで思春期のガキのようだ。


俺は柚葉の肩を離し、再び愛したくなる思いを払拭するようにベッドから出た。

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