契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「これからいつものメンバーで飲み会になったから夕食はいらないよ」


「ん、飲みすぎないでね」


私と違ってお姉ちゃんと慎はお酒に強いけれど。


「ゆず姉と一緒にするなよ」


「可愛くないのっ」


「ははっ、じゃあな」


笑い声と共に電話が切れた。




夜、部屋のテーブルの上に置いた携帯電話にメールが入る。唯一、携帯電話のアドレスを教えた麻奈からのメールだ。


【明日空いている?暇だったら買い物でもしない?】


そっけないメールに私は笑ってしまう。


大丈夫と打ち込み、私の返事も簡単すぎてどうかと思うけれど、それだけを打ち込みメールを返信した。


******


「麻奈!」


原宿のオープンカフェのテーブルに座っている麻奈が道路から見えて低い木材の塀から手を振る。


麻奈も気づき、笑顔で私に手をパッと上げる。


「待った?」


話す私の息が上がっている。


「ううん、今来たところ 大丈夫? 走ってきた?」


息切れがわかった麻奈が軽く眉を寄せながら聞いてくる。


「少しだけ、最近体力が衰えたって感じ あれくらいで苦しいなんて」


一〇代の時のような体力は二〇代になると衰えるのだろうか。


「そうよ 私たちも年取ったのよ もう若くないんだから」


自分もそうだと言うように麻奈が笑った。

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