契約妻ですが、とろとろに愛されてます

嫉妬

オーダーしたそれぞれのパスタ料理と飲み物が運ばれてきた。


「で、どうなの？真宮さんとは」


「どうって？」


フォークを弄びながら、小首をかしげて私は聞いた。


「うまく行っているの？」


「うまくもなにも……私たちは契約だから……」


本気にならないように釘を刺したのは麻奈なのに。


急に頬が照って熱くなり、喉が渇きを覚えて目の前のアイスティーを一口飲んだ。


「でも柚葉、ますます綺麗になったよ　着ている服もおしゃれになったし」


麻奈に言われて自分の服装を見る。今日はブルーのキャミソールに白のサマーカーディガン、フレアースカートはトップスと一緒のブルーだ。私の好きなテイストですべて琉聖さんに買ってもらった服だと気づく。


「褒めても無駄だよ？何も出ないからね？」


「そんなこと言ってないじゃん」


麻奈が唇を尖らせて言う。それから少し間が空いた後「ねえ、真宮さんは優しい？」なんて聞いてくる。


彼は優しい……優しすぎるくらい。でも私達はあくまでも契約の関係……。


「うん……優しいと言えば優しいけど、つかめない人かな……」


「あれだけのルックスなら敵も多いでしょうよ　感情を隠すのがうまいんじゃない？」


「敵？」


麻奈の言っている意味がわからない。


「彼氏がいても真宮さんとならって言う女がたくさんいるらしいよ　会社でも外でも、だからたまに彼氏から因縁つけられたりするって。修二からの情報だけど」


麻奈の話を聞いて、例え琉聖さんがその人たちを好きでなくても私の心の中に嫉妬心が芽生える。


顔に出ていたのか、麻奈がクスッと笑う。


「柚葉、真宮さんを愛しているんじゃない？」


愛している……その自覚が芽生えたのは最近だけれど、一目ボレだったのかもしれない。そうでなければ身体を許さないし、横瀬課長にキスされた時のように嫌な気持ちになるはずだから。


だけど、麻奈の質問に答えず、ただ微笑んだだけだった。


「あれ？もう食べないの？」


私のお皿に半分以上残っているパスタを麻奈は見て言う。


「うん、もうお腹一杯」


「だめよ？　ちゃんと食べなきゃ　最近の柚葉、顔色も悪いし」


「もう入らないよ　ね？それより買い物に行こうよ　欲しい物があるの」