契約妻ですが、とろとろに愛されてます
カフェを出ると原宿の街をぶらぶらと歩き、気に入った洋服やアクセサリーを購入し夕方になると別れた。これから麻奈は修二さんとデートで神宮外苑前で待ち合わせ。


麻奈と別れてからひとり大通りを歩いていると、何げなく向こう側の通りを見た私の足が止まった。


琉聖さん……?


一昨日パーティーの時に会った菜々美という女性と琉聖さんが通りを歩いていた。身長が高く美男美女のふたりは目立つ。


ふたりを見て、頭の中が真っ白になった。


茫然と佇み、目はふたりの姿を追って行く。琉聖さん達は青山方面へ歩いて行ってしまった。





電車に飛び乗り、気が付いたら自分の部屋にいた。


私、ふたりを見て嫉妬している……。


もやもやした気持ちに襲われ、涙が頬を伝わる。


あの女性が琉聖さんにとってどんな存在だったのか、聞かなくてもわかる。元カノと別れる時の彼の表情と全く違う。あの時、彼女を見つめる瞳は切なげに見えた。さっきも手や腕は組んでいなかったけれど、恋人同士の雰囲気に見えた。


もうすぐ契約が終わる……。


そんな気がした。


何も考えたくなくてベッドにうつ伏せになった私は枕に顔を埋めた。


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