契約妻ですが、とろとろに愛されてます
翌日、熱は下がり怠さは感じたものの仕事に行くことにした。忙しい時期で休むと麻奈ちゃんや佳美先輩に迷惑がかかってしまう。


咳は出ないし、風邪じゃなかったのかな。最近よく熱が出るのは環境の変化の疲れなのかもしれない。
鼻血もよく出るし……今朝も出たけどすぐ止まって良かった。鼻の粘膜も弱くなったみたい。


お昼休みなると、琉聖さんにメールを打った。


【昨日は果物をありがとうございました。他の果物も美味しかったです。熱も下がり、今日は出勤しています】


これが婚約者に打つメールだろうか。あまりにも婚約者らしくない。


もうすぐ就業時間が終わりになる頃、琉聖さんからメールが返信されてきた。


【今日はうちに泊まれ】


たったそれだけの一行。


泊まれって……一瞬、戸惑ったけれど、琉聖さんに会えるのは嬉しい。私は笑みを漏らしながら「わかりました」と返信する。


お見舞いの果物のお礼に夕食を作ろうと、帰りにスーパーマーケットに寄り食材を買ってマンションへ急いだ。何を作ろうかと考えて、買い物に思ったより時間がかかってしまった。


早速、エプロンをしてピカピカで機能的なキッチンに立つと、台の上に置いたジャガイモを剥きはじめる。琉聖さんの好みがわからなかったから家族に好評の肉じゃがと中華サラダ、鶏肉のいそべ揚げを作ることにした。
< 76 / 307 >

この作品をシェア

pagetop