契約妻ですが、とろとろに愛されてます
お味噌汁を温めていると、琉聖さんが寝室から出て来た。


「座って待っててくださいね」


「手伝おうか?」


「大丈夫です 座っていてくださいね」


そう言うと、琉聖さんはすんなり席に着いた。




「おまたせしました」


最後の料理とご飯、お味噌汁をテーブルに並べた。


「うまそうだな いただくよ」


「はい」


にっこり微笑んで琉聖さんが料理にお箸を付けるのを見ていた。


「うまい」


「よかった……」


つい、ホッとした笑みを浮かべてしまった。いつも美味しいものを食べている琉聖さんの口に合うか自信がなかったから。



食事が終わると片付ける間、琉聖さんはソファに座り寛いでいた。その間に二回ほど仕事の用事で携帯電話が鳴ったから、寛ぐまではいかなかったみたいだけど。


コーヒーを入れて琉聖さんの目の前に置く。


リビングルームにはクラッシック曲が小さく流れている。


「おいで」


「きゃっ」


コーヒーを置いたタイミングを見計らったみたいに琉聖さんは私の腕を軽く引っ張った。バランスを崩して琉聖さんの膝の上に横座りなってしまう。


目と目が合い口元に笑みを浮かべた琉聖さんの顔が近づき、唇が重なる。


「あさってからニューヨークへ出張になった」


「ニューヨークへ?」


「あぁ 契約に少々手こずっているようだ 一週間で戻るよ」


そう言いながら髪の一房を弄ぶ琉聖さんに胸が暴れはじめる。


「お、重いから降ります」


「重くない むしろ軽いくらいだ もっと肉をつけた方がいいな」


そう言って私の首筋に顔を埋める。


「あっ……」


首筋を強く吸われて思わず甘い声が出てしまう。


「明日も泊まるんだ 明日は外で食事をしよう」


「食事なら作ります」


「食事を作ってもらう為に呼んでいるんじゃない」


「でも……」


強引に口を塞がれて何も言えなくなってしまう。抱き上げられると私は琉聖さんのことしか考えられなくなった。

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