契約妻ですが、とろとろに愛されてます
琉聖Side


腕の中で眠った柚葉の頬にかかる柔らかい髪をこのうえなく優しく払う。


病み上がりの身体を今日は抱くつもりはなかったのだが……君を前にすると自制心が抑えられないな。一週間も離れていられるだろうか。いっそニューヨークへ連れて行こうか……。


いつでも触れていたい。一緒に居たい。そう思わせる女は柚葉が初めてだった。


元彼女の菜々美とは大学生の頃から付き合っていて話しも合い、お互いの身体の相性も良かった。友達のような恋愛関係だった。長く付き合っていたが、突然菜々美はアメリカ人の富豪と結婚するため俺の元から去った。


菜々美を愛してはいなかったが、結婚も考えていたせいか、去られたことは堪えた。その後の俺は女を信じられなくなり来る者は拒まず、去る者は追わずの生活をしていた。愛は存在しない。女と本気で付き合うなと、俺の心の中で出来上がったのだ。


たまたま学生からの友人 修二から柚葉の話を聞き、興味を持った。最初は興味本位で近づいたが、みるみるうちに間に柚葉に溺れてしまったようだ。


「ん……」


柚葉が寝返りを打ち、俺の方へ擦り寄ってくる。


俺はフッと微笑むと、柚葉の頭の下に腕を回し抱きしめて眠りに落ちた。

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