契約妻ですが、とろとろに愛されてます
朝、私が目を覚ますと、隣に琉聖さんはいなかった。


「えっ……」


バスルームからシャワーの音が聞こえてきた。


私は急いでウォークインクローゼットに入り、今日着る服を手にして別のシャワールームに向かった。


良かった……寝坊したかと思った。


六時を回ったところだった。このマンションからなら三十分もあれば会社に行ける。


手早くシャワーを浴びてふかふかのバスタオルを巻いてバスルームを出ると、タオル一枚腰に巻いた琉聖さんがドアに寄りかかっていた。


「きゃっ!」


バスタオルを巻いた上から両腕を胸に回す。


琉聖さんの黒髪からは滴が滴り落ちている。


「りゅ……うせいさん?」


組んだ腕に見える筋肉や、男らしい胸板、男性の色気と言うのだろうか。そんな姿を見せつけられて、私は動けなかった。


「ど、どうしたんですか?」


戸惑いを見せる私に琉聖さんは素早く近づくと抱き寄せ唇を重ねる。


「何も言わずにいなくなるな」


それだけ言って琉聖さんは部屋から出て行った。



琉聖さんの唇の感触が残った唇にそっと指をやる。


どうしたのかな?もしかして帰ったのかと思った……?


「いけない!朝食、朝食」


ベビーピンクの半袖ブラウスと白のサブリナパンツを素早く着る。


髪の毛をドライヤーで乾かし、ポニーテールに結う。


長くなっちゃったから少し切ろうかな……琉聖さんの好みはどっちだろう。長い髪?それとも……菜々美さんみたいなスタイリッシュなショートヘア?


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