契約妻ですが、とろとろに愛されてます
支度が済むと急いでダイニングルームに入った私の足が止まる。


「朝食……?」


「何で疑問系なんだ?」


薄いグレーのワイシャツ姿で品のいいピンク系の細かいストライプの入ったネクタイをしている琉聖さんは誰が見ても男前だ。


「だって……」


テーブルの上を見て戸惑った。テーブルには完璧なホテルのような食事が用意されていたから。


「言っただろう?君に料理させる為に呼んでいるんじゃない」


「じゃあ どうして?」


って聞きそうになったけれど留まる。


性欲のはけ口って言われたらショックだし……。


「どうした?」


立ち上がった琉聖さんは私の所に来ると、手を握って席に座らせてくれる。


そしてコーヒーか紅茶かを聞いてくれ、銀のポットに入った飲み物をカップに淹れてくれる。


「そういう姿をしていると子供みたいだな」


「どうせ子供っぽいですっ」


お化粧はしていないし、頭の上で高く結ったポニーテールを言っているのだろう。


「若さは金に変えられないだろう?」


「褒められているのか、けなされているのかわからないです」


私の言葉がおかしかったのか琉聖さんが笑う。


お皿の中身はぺろりと食べられた。こんなにたくさん食べられたのは久しぶりだ。


たっぷり食べた私を見て琉聖さんも満足そうだ。


「程よい運動は食欲が出るな?」


そう言われて耳まで真っ赤になった私だった。
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