契約妻ですが、とろとろに愛されてます
琉聖Side


書斎で仕事をしていた俺は桜木に電話をかけ、柚葉の検査の予約をするように指示を出す。


俺が寝室に入ったのは一二時を回った頃だった。音をたてないように静かに入ると、柚葉はあどけない顔で眠っていた。彼女のすべてが愛おしく思える。


今まで付き合った女とは朝まで一緒に過ごしたことはない。最初から柚葉は特別だった。


俺の心にすっと入り込んでしまったのだ。それが愛なのかはわからない。好きなのか……それもわからない。ただ思うのは柚葉のすべてが俺にしっくり合う。


静かに柚葉の横に身体を滑らすと、そっと頭を持ち上げ自分の腕を入り込ませると静かに抱き締めた。


明日から柚葉に会えない日数は長く感じられるだろう。


柚葉の唇に軽くキスをするとしばらく寝顔を見ていた。


******


琉聖さんがニューヨークに発った翌日、私は病院に行った。


しつこく琉聖さんに言われたからで、桜木さんに指示をして病院に予約までしていた。


大学病院に行くのは初めての体験だった。大病を患ったことがないので、風邪を引いた時は、自宅近くの個人病院に通院していた。大学病院の規模の大きさに少し不安になる。


その不安も終わる頃には解消され、問診と通常の健康診断を受けると開放された。結果は一週間後と言われた。ちょうど琉聖さんがニューヨークから戻って来るくらいだ。行ったばかりで、まだまだ長い。


琉聖さんに会いたい……早く帰って来て欲しい。琉聖さんがいる生活が当たり前になってしまった。


声が聞きたい……不思議な色合いを見せてくれる瞳が見たいよ……。



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