契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「柚葉様」
「お仕事中にすみません……琉聖さんは……?」
ここまで来て会えないのか……桜木さんからそんな感じを受けた。
「すみません 今は来客中でして――」
「待ちます 琉聖さんと話をしたいんです」
桜木さんは銀色のフレームの奥の瞳でじっと私を見てから「ふぅ……」とため息を吐き頷いた。
「……わかりました」
桜木さんは秘書室と琉聖さんの執務室に通じる中央のドアを静かにノックした。
「桜木さん、私は待ちますって……」
来客中の琉聖さんの執務室のドアを叩く桜木さんに驚く。
中から「どうぞ」と言う琉聖さんの声が聞こえた。
「柚葉様 中へどうぞ」
桜木さんがそのドアを開けて戸惑いながらも私は琉聖さんの執務室に入った。
一歩踏み出すと、ソファに座る女性を見て足がパタリと止まる。
琉聖さんの来客相手は菜々美さんだった。すらりとした足を組み、優雅に座っている。
菜々美さんは私を見てふっとあからさまに笑みが消えた。
「あ、あのお話が……」
とにかく何か言わなければと出た言葉だった。
「来客中だ 今日は帰ってくれないか 桜木、なぜ通した」
琉聖さんは立ち上がろうともせず私に冷たく言う。
「でも、」
誤解を解いておきたかった。
「柚葉 君の会社は来客中でも客を通すのか?」
更に冷たく聞こえて、愕然となる。何かに捕まっていなければ倒れそうだった。
「でもっ――」
「わからない人ね!琉聖は帰れって言っているのよ?」
菜々美さんが呆れたように私に言う。
「貴方は黙っててください……」
私は琉聖さんと話をしたい一心で菜々美さんに言っていた。
「なんですって!?礼儀知らずな女ね!」
私の言葉が気に入らなかったのか、菜々美さんは手元にあるコーヒーカップを掴むと立ち上がって私に向かって投げつけた。
「菜々美!」
琉聖さんは驚いて叫んだけれど、距離がありカップは私まで届かずに足元で割れた。
「お仕事中にすみません……琉聖さんは……?」
ここまで来て会えないのか……桜木さんからそんな感じを受けた。
「すみません 今は来客中でして――」
「待ちます 琉聖さんと話をしたいんです」
桜木さんは銀色のフレームの奥の瞳でじっと私を見てから「ふぅ……」とため息を吐き頷いた。
「……わかりました」
桜木さんは秘書室と琉聖さんの執務室に通じる中央のドアを静かにノックした。
「桜木さん、私は待ちますって……」
来客中の琉聖さんの執務室のドアを叩く桜木さんに驚く。
中から「どうぞ」と言う琉聖さんの声が聞こえた。
「柚葉様 中へどうぞ」
桜木さんがそのドアを開けて戸惑いながらも私は琉聖さんの執務室に入った。
一歩踏み出すと、ソファに座る女性を見て足がパタリと止まる。
琉聖さんの来客相手は菜々美さんだった。すらりとした足を組み、優雅に座っている。
菜々美さんは私を見てふっとあからさまに笑みが消えた。
「あ、あのお話が……」
とにかく何か言わなければと出た言葉だった。
「来客中だ 今日は帰ってくれないか 桜木、なぜ通した」
琉聖さんは立ち上がろうともせず私に冷たく言う。
「でも、」
誤解を解いておきたかった。
「柚葉 君の会社は来客中でも客を通すのか?」
更に冷たく聞こえて、愕然となる。何かに捕まっていなければ倒れそうだった。
「でもっ――」
「わからない人ね!琉聖は帰れって言っているのよ?」
菜々美さんが呆れたように私に言う。
「貴方は黙っててください……」
私は琉聖さんと話をしたい一心で菜々美さんに言っていた。
「なんですって!?礼儀知らずな女ね!」
私の言葉が気に入らなかったのか、菜々美さんは手元にあるコーヒーカップを掴むと立ち上がって私に向かって投げつけた。
「菜々美!」
琉聖さんは驚いて叫んだけれど、距離がありカップは私まで届かずに足元で割れた。