**吸血鬼と暴走族**[完]


母さんは俺よりも苦しい思いをしてた


そう思うだけで、その人の子供で良かったと初めて思った


「狼夜。この名前はお前の母さんが付けたもんだ。」


「母さんが……?」


「あぁ!意味は…(バンッッッ」


いきなり凄い音と共に襖が開いた


「父さん………。」


その時の父さんの顔は今までの優しい顔では無く、始めてみる深い悲しみに染まった父さんの怒った顔だった


「達弥。二度と彼奴の話しをするな。


狼夜。二度と母さんの事を聞くな。


2人とも、分かったか。」


「……分かったよ。悪かったな。」


達弥さんが謝る


何で謝るんだよ……


「狼夜、分かったか。」


俺は声を震わせながら言う


「……んでだよ。


何で母さんの事聞いたら駄目なんだよ!!


父さんは怖いだけだろ!!


現実から目を背けてるだ「五月蝿い!!!!!」(ビクッッッ」


父さんは殺気の篭もった目で俺を睨む


「お前はっっ!!!


彼奴の何が分かる!!!


俺の何が分かる!!!


憶測だけで俺と彼奴の事や関係を語るな!!!!」


っっっ!!!


その時、俺は初めて知った


父さんは全然母さんの事を忘れてなかった


今もまだ、母さんを愛していた


俺は何処か不安だった


はっきり言って、父さんはまだ若く、凄く格好良いから凄いモテる


だから俺は、父さんが母さんを忘れて新しい女を作るんじゃないか


不安で不安で仕方なかったんだ


会ったことや見たことはないけど、母さんはたった1人の俺の母さんだ


お腹を痛めて苦しみながら産んでくれた


それはたった1人だけなんだ


< 30 / 224 >

この作品をシェア

pagetop