**吸血鬼と暴走族**[完]
ドクン
母さんが……
吸血鬼……?
何?何言ってんだ?
吸血鬼なんて
いるわけ無いだろ……
「狼夜、信じられなくても良い。
だがな、彼奴の存在を否定する事はいくら自分の息子でも……
許さねえぞ。」
「!!!」
父さんは鋭い目で俺を見つめる
「……すみません。
では何故、俺は吸血鬼では無いんですか?」
そう、何故俺は吸血鬼ではない?
俺は一度も、血に飢えたり、人間を襲おうと思ったことはない
「彼奴はお前を産んですぐに、お前の吸血鬼としての血を全て飲み、死んだ。」
「………何故、ですか?」
俺は小さな疑問を父さんに尋ねようとすると、父さんは俺の顔を見て、何かを感じたように悲しそうに微笑んだ
「…彼奴は、吸血鬼と言う運命(さだめ)ってだけで、愛する人たちを失った。
だから、お前にそんな思いをしてほしくなかったんじゃないか?」
俺は初めて、俺は母に愛されていると心から感じた
すると、俺は頬に冷たい感触を感じた
…………涙?
父さんは驚いたような顔をすると、すぐに優しい笑顔を俺に向けた
「今日はコレくらいにしておけ。
聞きたければ何時でもくれば良いんだからな。」
「……………はい。」
俺は一度土下座をして、父さんの部屋を出た
……俺は、家族から深く愛されていたんだな……
俺は自分の部屋で静かに涙を流した