**吸血鬼と暴走族**[完]


--我は少し昔の事を思い出していた


雷斗と此処で出会い、契約した


だが、多分もう、誰とも契約しないだろうな……


正直、契約する事を抵抗するようになってきていた


我は……、こんなに臆病だったか………?


………違う


知りすぎたんだ


雷斗と言う男を知り、恋を知り、愛を知った


愛すことも、愛されることも……


こんなに弱くなるんなら、、、知らなければ良かった


こんなに苦しくなるんなら、、、愛さなければ良かった


幾度も後悔し、傷つき、悲しみ、苦しんだ


でも、それ以上に……






雷斗をそんなに愛していたんだと実感する


木があったところに立ち、満月を見上げる


……また、おぬしに会いたい、愛し合いたい


そんな思いを抱き、あの時歌っていた歌を歌う


冷「~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪」


歌っている最中、頬に冷たい感触を感じる


………涙?


何故?あの時は涙なんて流さなかったのに……


………そっか、貴方を知ったから、こんなに涙が溢れるんだ


……我が歌っている歌は、失恋を元にした歌


愛してる人はもう死んでいるのに、それを受け入れられずに、愛してる人との思いでの場所にいる女の失恋の歌


……今の我にはぴったりな歌だな


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