しろいため息
○ 夢なんて
*
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+
・
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寂しい枯れた世界を白く染める吐息を、冷えた指先に吹きかける。
顔をあげると、担任の呆れたような顔。
哀れなものを見るような目。
私が黙りこんでもう15分は経っただろうか。
この沈黙の始まりは、彼の一言からだった。
『 夢を諦める勇気も必要だ 』
私は、その一言に思いっきり顔を顰める。
『なんなんだ、コイツは』と思った。
でもどうしてそんなことを言われているか、分かってる自分もいる。
私が座る薄汚れた椅子に寄りかかるようにして置かれたアコースティックギター。
ぎゅっと強く抱きしめるように前で抱えた。
よくわからない感情に飲み込まれそうになったから。
夏、私は就職受験に見事撃沈した。
【 不合格 】を受け取った瞬間に私は決めたのだ。
アルバイトをしながら、歌っていこうと。
夢である、シンガーソングライターを続けていこう、と。
綺麗に並べられた椅子と机。
その中でポツンと取り残されたように、座る私。
人間、夢がないと生きていけない。
むしろ、夢があるから生きていけると思う。
夢をなくした人間は、生きてると言えるのだろうか。
そう思い続けてきた私に突然突き付けられた、
『 夢を諦める勇気 』という考えもしなかったこと。
なんだか腹が立ってきた。
私の考えを否定するような彼の言葉にか、
それとも受け入れられない自分自身にか。
それすらも分からないで、沈黙は20分を迎える。